Witness for the Prosecution by Agatha Christie (London County Hall)
10/30/2019
作:Agatha Christie 演出:Lucy Bailey デザイン:William Dudley 照明:Chris Davey 音響:Mic Pool
かつては大ロンドン議会を行なっていた空間を劇場として利用したプロダクション。議長席を裁判官の席にし、その正面に裁判所を模したセットを設置している。裁判のシーンだけで進行するわけではなく、幾度か挟まれる他の建物内の場面では、カーペットや家具が持ち込まれる。そのシーンが終わるとまた家具は運び出され、裁判所が再現される。
舞台を取り囲むように配置された議員席に着席し、観客は芝居を見守るので、ライトな部類のイマーシブ演目と言っても差し支えないと思う。陪審員の席に座った観客は芝居に参加させられるがそれも楽しそうだ。
トリックには驚かされるし、原作を忠実に舞台上で再現したものを鑑賞する喜びは感じられるだろう。ただし、原作以上の演出のひねりはあまりないので、うっかり2016年のBBCドラマ翻案の重厚さと比べてしまうと、やや物足りない。観光客もターゲットに想定していそうで、アトラクション的なエンターテインメントとしても楽しむことができる。
それにしても、なぜ戯曲の作家名がクレジットされていないのだろうか。