読んだ本:暴君

久しぶりに読んだ本のコーナー。グリーンブラットの新著『暴君』は、とりあげられた戯曲の展開を知っていれば、すいすい読み進められる。

『暴君 シェイクスピアの政治学』スティーブン・グリーンブラット著, 河合祥一郎訳 岩波新書 2020年 (原著 Tyrant: Shakespeare on Politics は2018年出版)

シェイクスピアが繰り返し戯曲の中で描いた「暴君」と見做すことができる権力者たちについて、本人や取り巻きの行動原理をセリフと展開から読み取り、解説していく書籍である。なぜ暴君が生まれるのか、なぜ暴君が権力の座に就くことができるのか、その後何が起きるのかなどを、ヘンリー六世からコリオレイナスまで順に見ていく。

解説がわかりやすく、一般化しやすい段階まで噛み砕いて言語化されているため、世界中で権威主義的な政治家が増加している今の世の中と、つい照らし合わせて読み解いてしまう。あとがきからもわかるように、トランプ政権を意識して書かれたものだが、それ以外の権威主義的な政権一般も対象に含めた政治批判と読むことができる。

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