The Real Thing

The Real Thing (Old VIc)

24/8/2024

作:Tom Stoppard 演出:Max Webster 美術、衣装:Peter McKintosh 照明:Richard Howell 音響:Alexandra Faye Braithwaite

出演:James McArdle, Bel Powley, Oliver Johnstone, Susan Wokoma他


トム・ストッパードの1982年初演の芝居のリバイバル。プレビュー中に見に行った。オールド・ヴィックに行ったのは2018年ぶりだった。

この芝居の見どころはなんといっても、軽妙な会話で笑いをとり続けるジェームズ・マカードル。インテリでユーモラス、やや自意識過剰な劇作家ヘンリーを演じる。ちょっとした間合い、セリフの抑揚などが絶妙で、狙ったところ全てで笑いをとっていたのではないだろうか。というか、笑えるセリフはほとんど彼に当てられているため、出ずっぱりでフル稼働していた。

こんなにコメディが上手いのなら、これからももっとやるべきだし、そういう姿をもっと見たい(マクベスだって好きだったが)。

ピーター・マッキントッシュによる美術は大変洗練されている。舞台の床中央に描かれた長方形の白線が部屋の大きさ、壁の位置を示しており、基本的にはこの長方形の中で各シーンが展開する。実際には大きめなオールド・ヴィック舞台空間を小ぶりに見せ、観客の意識・視線を舞台の中央に集中させる効果があり、良い手法だと思った。(思い返すと、2015年のThe Caretaker(管理人)でも舞台の内側に小ぶりに作ったセットがとても良かった)

置かれている家具や小物も心地よく、また、それらをスタッフが踊りながら配置する演出も、毎回流れる懐かしめのBGMも心地よい。

物語のなかに、今に訴えかける”意外とタイムリーな要素”は見つけることができなかった。感傷的なシーンも、言ってしまえばセックスと自意識の話に終始しているように感じる。第一場はあんまり面白くないヘンリー作の劇中劇から始まるのだが、すぐ次の場から作家や俳優たちの物語が展開し、笑えるようになったのでホッとした。描かれる人間模様や会話に魅力がないわけではないが、この公演の魅力はマカードルと美術の力によるところが大きい。

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