Kiss Me Kate (Barbican Theatre)
28/8/2024
作:Cole Porter, Bella and Samuel Spewack 演出:Bartlett Sher 振付:Anthony Can Laast 美術:Michael Yeargan 衣装:Catherine Zuber
出演:Adrian Dunbar, Stephanie J. Block, Charlie Stemp, Georgina Onuorah, Nigel Lindsay, Hammed Animashaun, Peter Davisonほか
あらすじ(ネタバレあり)
年配の俳優フレッド(ダンバー)が演出・プロデュースし、主役のペトルーチオを演じる『じゃじゃ馬ならし』のオープニングナイト当日と楽屋でおこるドタバタを描くコメディミュージカル。フレッドの元妻で映画女優のリリー(ブロック)がキャサリンを演じている。フレッドはビアンカ役の若手女優ロイス(オヌオラ)にうつつをぬかしており、ロイス宛に公演初日のプレゼントを贈るのだが、リリーが誤って受け取り、大層喜んでしまう。リリーはすでに婚約者ハリソンがいるが、彼はかつてロイスとも関係があった。またロイスの現在の恋人で俳優のビル(ステンプ)はギャンブル癖があり、フレッドの名前で賭けに負けたため、劇場の楽屋にギャングたち(リンゼイ、アニマショーン)が押しかけてくる。『じゃじゃ馬ならし』のいくつかのシーンとその裏で楽屋でのいざこざが同時に進行し、一旦は公演が破綻するのではという事態になりつつも、最終的には『じゃじゃ馬ならし』ラストシーンでフレッドとリリーが復縁、ロイスとビルが愛を確かめ合い、大団円を迎える。
感想
バービカンの広い空間と盆を活かした美術、大人数のキャストによる迫力のあるダンスが魅力的な楽しいプロダクションだった。開演前から俳優が舞台上にいるので、早く席に着いていると楽しい(もうとっくに閉幕したのでかなり今さら情報)。
主演のダンバーは、浮き足だってうぬぼれた鼻持ちならないおじさんがうまい。ドラマシリーズLine of DutyやRidleyのイメージとも近いので、最初から最後まで、「ああ、エイドリアン・ダンバーだなあ」という印象のままではある。歌唱はメインの女優2名、ステファニー・J・ブロックとジョージア・オヌオラがとても上手く輝いている。しかし、彼女たちの相手になる男たちのキャラクターがダメなやつらしかいないので、最後に大団円で恋が成就したからといって見ていて嬉しくはならない。チャーリー・ステンプが演じるビルは、元々はおそらく踊る役柄ではないのだが、途中のダンスナンバーで少しパートが追加されていた。
このミュージカルで一番楽しいのは、ギャング二人が舞台の客前に出てきてしまい歌と踊りを披露することになるシーン。Brush Up Your Shakespeareという歌を何度も何度も繰り返し披露することになるのだが、最初は戸惑っていたのが徐々にノリノリになり、繰り返されるたびに客席と共にどんどん盛り上がる。演じるナイジェル・リンゼイ、ハメド・アニマショーンどちらも、こんな役柄はお手のものだろう。この日一番の喝采をもらっていたのではないだろうか。