Next to Normal (Wyndham’s Theatre)
27/8/2024
作曲:Tom Kitt 脚本、作詞:Brian Yorkey 演出:Michael Longhurst 美術:Chloe Bamford 照明:Lee Curran
出演:Trevor Dion Nicholas, Caissie Levy, Jack Ofrecio, Jamie Parker, Jack Wolfe, Eleanor Worthington-Cox
昨年夏にドンマー・ウェアハウスで上演されたプロダクションが、ウエストエンドのウィンダムズ・シアターにトランファーしたもの。劇場が変わったものの、セット、演出等はそのまま、出演者も全員続投している。
このプロダクションに対する感想は昨年と大きく変わらない。ミニマルな舞台セットは美しく、少人数のキャストとミュージシャンの演奏も申し分ない。ただ、音楽の構成にメリハリが少なく、またメンタルヘルスの扱い方に疑問はあるという点で、ミュージカルとしてそこまで高く評価することは難しいが、しかし大きな魅力があることも否定できない、という印象。
じゃあ何で見に行ったのか、というと、ダン役のジェイミー・パーカーのファンなので定期的に舞台を観たいからである。相変わらず、葛藤しながらメケメケに心が折れるところを見せてくれる。(Assassinsにしても、ハリー・ポッターと呪いの子にしても、そういう役が得意なのだろうか…)
一点、ドンマーでの鑑賞時と大きな違いがあると思ったのは、俳優6人のコンビネーションである。昨年も出演者の演技や歌唱が素晴らしいと思ったが、ミュージカルに対する演技プランの差が大きかった。基本的にパーカーは、言葉と心情を声に乗せるというストレートプレイの俳優らしいアプローチであり、他の5名、特にレヴィとワージントン・コックスは、楽譜を100%実現しながらドラマチックに歌い上げるというミュージカル俳優らしい歌唱を見せていた。それが今年のプロダクションでは、お互いが歩みよっている。まず、パーカーはより歌を強化させた演技になった(単純に歌が上手くなった)。その他の俳優は、間や声の使い方による心情表現をパーカーの演技の片鱗が感じられるようなものに変化させている箇所があったように思う。カンパニー全体として、1年目よりもより良い調和を見せている。
このプロダクションを映像で収録するような匂わせを公式アカウントがしていたので、ぜひその映像も見たいと思っていたのだが、未だ情報は無い。