The Oresteia

2026/8 The Oresteia (Bridge Theatre)

原作:アイスキュロス 作・演出:Simon Stone 美術:Lizzie Clachan 照明:Nick Schlieper

出演:Tom Glynn-Carney, David Morrissey, Mary-Louise Parker, Rosie Sheehy他

インターバル2回、上演時間3時間半程度。

プレビュー初回があまりにも長い4時間40分かかり、話題になったプロダクション。私が見たときはオープニングナイト後だったが、警報が鳴って第1幕を一旦中断・避難してまた再開したため、7時開演、11時過ぎに終演になってしまった。


アイスキュロスの『オレステイア』三部作『アガメムノーン』『供養する女たち』『慈しみの女神たち』を現代を舞台に翻案したもの。舞台を現代(2016〜2026)のイギリスに置き換え、登場人物の名前も置き換わっている:

クリストファー(アガメムノーン)…デイヴィッド・モリッシー

モンティ(クリュタイムネーストラー)クリストファーの妻。アメリカ人。…メアリー=ルイーズ・パーカー

イザベル(イーピゲネイア)夫妻の娘。アリスとは双子。

アリス(エレークトラー)夫妻の娘。…ロージー・シーヒー

オージー(オレステース)夫妻の息子。イザベル、アリスの弟…トム・グリン=カーニー

ジェローム(アイギストス)クリストファーの従兄弟…ジョン・マクミラン

チャンドラー(カッサンドラー)クリストファーの新しい恋人…ラキー・タクラー

メルヴィル, クリストファーの兄/刑事(二役)…ロイド・ハッチンソン

ロレンツォ, ジェロームの息子…アーチー・マデクウィ

ジェニー, モンティの雇った家政婦…アリス・ロス


セットはガラス貼のスタイリッシュな二階建て住宅で、全体が盆で回転するようになっている。俳優と衣装も全体的にスタイリッシュな雰囲気だ。長めの上演時間だが緊張感も途切れることなく見ることができる(はず)。メアリー=ルイーズ・パーカーも、トム・グリン=カーニーも、舞台で見るのは初めて。パーカーが特にうまいなと感じた。デイヴィッド・モリッシーはいつも通り良い。ロージー・シーヒーの雰囲気も個性的で面白く、記憶に残る俳優だと思う。

さて、上記の配役はできることなら鑑賞前に把握しておきたかったので、ひとまず書いておいた。オープニングナイト以降の1時間ほどカットした後のバージョンの鑑賞だったわけだが、それでもセリフがかなり多い。会話の言葉の端々から推測しながら見るミステリー的な性格の劇で、聞き取りには苦労したし、わからない部分も多々あった。できることならサイモン・ストーンの戯曲で予習しておきたかったが、鑑賞時は発売前だったので、これから読むつもりにしている。

後から考えると冒頭の2016年のシーンは、物語が始まる最初のシーンだったのだが、その後は時系列が行ったり来たりするミステリードラマ仕立てになっていて、「あの時何があったのか?」の種明かしは最後の最後にわかる。ネタバラシシーンのハラハラ感はあるものの、鑑賞直後は、「その部分を最初に見せてくれても面白く見れたと思うけどな」という気分になる。ただ、刑事が家を訪れるシーンやオージーの混乱したシーンをうまく見せるためには、時系列がジャンプする必然性があったようにも思う。

他にも現代に置き換える際にどうしても微妙なところがある。『オレステイア』であればアガメムノーンは10年ぶりに帰国したところをクリュタイムネーストラーに殺されてしまう。対して本作では、なぜモンティが、数年後に計画的にクリストファーを殺すことにするのかよくわからない。クリストファーは、「プーチンと関係がある」などと冗談めかして言われる企業の重役で、それなりに殺される理由づけもされるのだが、冒頭からかなり苦悩している様子が描かれているので、ちょっと気の毒な気がしてしまう。モンティ側の犯行に至る心の動きを知りたかった。その他の家族の会話は多いのに、モンティとジェロームのシーンは犯行日の口論しかないのではないか。

先にミステリードラマ仕立てと書いたが、魅力的なキャストと画のスタイリッシュさ、最初に風呂敷を広げて続きを見たくさせるフックはあるものの、ちょこちょこ辻褄合わせはできていない部分もあり、最終回にちょっとテンションが下がって終わってしまうという点で、まさにimdbで星7.4くらいのTVのミステリードラマを見ているようであった。

(演劇の感想をドラマに例えて終わるのは大変申し訳ない。よく聞き取れていない人のぼんやりした感想ということで許してほしい)

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