イン・ザ・メガチャーチ

朝井リョウ『イン・ザ・メガチャーチ』(日本経済新聞出版, 2025)を読んだ。連載は2023年4月〜2024年6月。今読むと面白いと思うのでおすすめ。

推し活経済が主軸の小説だが、陰謀論とか政治活動とか、私が見ている部分のインターネットをそのまま小説にされてしまった!というのが第一印象。今の時代の小説を今読むってこういうことか。また、平易な語彙しか使っていないのに、こんなにスリリングな描写ができるものなんだということに感心した。ピエール・ブルデューの趣味論みたいな部分は今っぽくないと思ったけど、実際はSNSはそういう話が大好きだったか。

推し活の思考回路も仕掛ける側の理論も見覚えがありすぎる。ファン側の女性たちの心理描写は読んでいて可哀想になって辛い。彼女たちはある程度共感できても、途中からは「可哀想」「気の毒だ」と感じるように描写されていると思う。仕掛ける側の理論は、「しまった、大衆小説でバラされてしまった」という気持ちになる。これは読者がみんな感じるのだろうか。この内容がピンと来ない世界に生きている人はどれだけの割合いるのだろうか。

など、色々と他の人の反応を聴きたくなり、語り合いたくなる小説だった。


タッチとしては、意地悪と優しいのバランスの取り方が新鮮で、思いのほか優しい。このままでは朝井リョウがますます人気になってしまう(良いだろそれで)。朝井リョウが時代の作家と言われたら、そうだよなって思っちゃう。ここでなんだか抵抗したくなるのは、自分が狙い通りの読み手すぎる現実が嫌になってしまうからかもしれないな。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


関連投稿

検索語を上に入力し、 Enter キーを押して検索します。キャンセルするには ESC を押してください。

トップに戻る