インヘリタンス-継承-

2024/3/9 北九州芸術劇場

作:マシュー・ロペス 訳:早船歌江子 ドラマターグ:田丸一宏 演出:熊林弘高 

Matthew LopezによるThe Inheritanceの日本初公演。前後篇に分かれている、かなり長い舞台作品である。世界初演はロンドンのヤングヴィック劇場で2018年3月で、9月にウエストエンドにトランスファー。2019年にはブロードウェイ公演を行った。オリヴィエ賞、トニー賞など多数受賞している。

私は2018年9月のロンドンで、トランスファー公演のPart1だけ観劇できた。この日はプレビュー初日で、ポール・ヒルトンの演じるウォルターのモノローグが素晴らしかったことを覚えている。次の日にPart2の上演があったけど、日程の都合で泣く泣く帰国し、Part 2の内容は戯曲だけ読んでいた。また、ロンドン公演を見た時は背景を全く知らず、後からE. M.フォースターのハワーズ・エンドを下敷きにしていると知り、1992年の映画を見ておいた。

5年半ぶりに日本で観劇できるということで大変楽しみにしていた公演。


肉薄しないNYゲイシーン

楽しみにしていた分、実際の舞台を見ると、日本で翻訳劇を上演する難しさをまたしてもひしひしと感じてしまった。

ロンドンで、英語で、米英の俳優が演じる場合と、日本で、日本語で、日本人に見える俳優が「エリック」や「トビー」を演じる場合の、物語内容と実際に目に見える表現の距離感が全然違う。その物語の信憑性(authenticity)、本物らしさ(genuineな感じ)、がどうしても欠けて見える。この舞台上の空間がNYにあるのだ、ということも、登場人物たちはゲイ同士でコミュニティーを形成し、今まで友情関係を築いてきたのだ、というバックグラウンドも、リアルには感じ取れなかった。

しかし、何をどうすればもっと良く感じたのかは分からない。ずっと「迫ってくる何か」が足りない感触の舞台だった。

一点、明らかに良くなかったのは、ビデオデザインである。レイプシーンで出演俳優の美しいポートレートを表示する演出はかなり困惑した。文字の表示も、なぜその表現方法で表記したのか(フォントの組み合わせと配置)根拠が無さそうで、ノイジー。

文句ばっかり言っているようだが、観て良かったとも思っている。この長い芝居をその場の観客みんなで走り切った感覚を持てた体験ができた。北九州芸術劇場での公演は昼公演前篇、夜公演後篇、それぞれ一回きりだったので、基本的に客はこの1日でぶっつづけで見るしかなかった。私だけかもしれないが、見終わったときには、この空間にいる人たちだけの妙に連帯した達成感を感じた。


感想を書き上げられず、ずっと下書きにあったのを発見し、ぼんやりとした記憶だけで書いた記事です!どこがよかった、 というのをすっかり忘れてしまって申し訳ない(2025年12月)

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