The Hard Problem

劇作家トム・ストッパードが亡くなってしまった。

訃報を聞いて、ストッパードの芝居を見た感想一覧を作ろうと思いたった。なので、初期の感想文が前のブログサービスに残ったままなのを、以下にコピペして移行したい。

実は、古いブログ記事をここに移行する作業を、数年単位で後回しにしていたのだが、これを機に少しずつやろうと思う。少し面倒なうえ、古い自分の文章を読み直すのが気恥ずかしくてやれていなかった。

なので、2025年現在にこの記事を見てしまった方は、以下は読み飛ばしてください。


以下は、2015年4月27日に『海外観劇日記』に投稿した内容にクレジットを追記したもの。


The Hard Problem (Dorfman Theatre, National Theatre)
3/Mar/2015

作:Tom Stoppard 演出:Nicholas Hytner 美術:Bob Crowley 出演:Olivia Vinall, Damien Molony他

初めてのナショナルシアター(NT)での観劇。
トム・ストッパードの新作、ニコラス・ハイトナーのNT芸術監督として最後の演出作と話題だから、という理由だけでチケットを確保していた。
難しい内容だという前評判を聞いていたため、早めに劇場に向かってスクリプトを購入し、シーン4あたりまで読んだところで開演時間になった。
ちなみにNational Theatreのショップやカフェも、Dorfman Theatreもとても居心地が良かった。

総括:面白い!テレビのドキュメンタリーとかに合いそう

面白かった!
神経心理学とマーケティング予測プログラム、人間の意識とコンピュータの差はあるかなどをテーマとしているのだが、そこに絡む主人公の研究者ヒラリーのドラマはとても共感しやすい。
ちなみに難しい難しいと聞いていた割には、私は特に難しいと思うことも無かった。
インターバル無しの2時間弱のコンパクトな芝居で、構成も分かりやすく見やすい。
場面転換時のバッハのピアノと天井のオブジェの照明が綺麗だったが、こういう辺りが少し綺麗にまとまりすぎているかもしれない。

しかし観劇途中で、研究者が出演する教育的ドキュメンタリー番組を見るような楽しみ方をしている自分に気づいた。こういう番組をテレビで放送したら面白いのではないかと思ったが、しかしこれは演劇については褒め言葉になっていないだろう。
シーン11のうち事前に読んでいたのはシーン4あたりまでだったのだが、そのせいで物語の行く先が読めてしまったのも残念だった。後から考えると事前に読んでおくのはシーン1だけで劇中の話題には十分ついていけただろう。
題材は学術的には目新しくは無いだろうし、演劇的にそこまでインパクトも無いので、レビューでの点が辛かったことも理解は出来る。

主役のオリヴィア・ヴァイナールは若く利発的な研究者役を好演していた。昨年日本でNTLiveでリア王のコーディリア、オセロのデズデモーナを見ていたので知っていたが、色白で小柄だが活発な印象で、くるくる変わる表情や口をとがらせて喋る様子が可愛らしくどうにも魅力的だった。
同じく活発な印象の子役を見たことがあるなと思ったら、トニー賞授賞式でマチルダを演じていたヘイリー・カナム。
スパイク役のダミアン・モロニーも魅力的で役柄にぴったりだったが、そういった点では、全体的に戯曲のイメージに近く意外性に欠けるキャスティングとも言えるかもしれない。

ーーー

余談だが、私が見に行ったのは字幕付き上演回で、込み入った台詞を間違わずに喋る俳優さん達に感心してしまった。それを生業としているのだから当然だ…
また「男性の高級ヘアカットの値段」がスクリプトでは£80だったのだが、舞台上演時では£150に上方修正されていたのが世知辛かった。

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