She Loves Me

作:Joe Masteroff (book), Sheldon Harnick & Jerry Bock (music)/演出:Scott Ellis/振付:Rob Marchall/美術:david Rockwell/出演:Laura Benanti, Zachary Levi, Jane Krakowski, Gavin Creel, Byron Jennings, Michael McGrath 等

WOWOWで放送されたものを視聴。ブロードウェイの劇場から2016年6月30日に生配信された映像で、現在はBroadway HDで配信されている。日本では、2019年に日本語字幕付きで松竹ブロードウェイシネマとして映画館上映がなされたあと、2020年7月にWOWOWで放送された。

感想

昔ながらの楽しいミュージカルだった。こんな事を言っては失礼だが、60年代のミュージカルと聞いてプロットに全く共感できなかったらどうしようかと思っていたのだが、杞憂に終わってほっとした。前半の疑問は全て辻褄があい、幸せになってほしいと思った人たちがどうやら幸せになってくれそうで、安心して劇場を後にできる物語だった。1937年の元の戯曲(Miklós László, Illatszertár)から何度も映画やミュージカルに翻案されているのも納得だ。

音楽も多様性があり、たくさんの見せ場で観客を楽しませることに成功していると思う。特にTwelve Days to Christmasは、既存の歌を使って、怒涛の展開を見せる手法が面白かった。そこまでは様々な過程を入念に描き、ダンスナンバーも長めにとっていたので、カップルが徐々に恋心を強くしていくプロセスも何曲か使うのかと思ったのだが、この曲では「もうどうなるか分かるだろ?」とでも言うように、場面から場面へ細切れにジャンプして、急速に時間と仲が進んでいくところを描き、そのままフィナーレへと繋いでしまう。忙しなさを表す曲だが、物語として急かされた気はせず、徐々に仲が深まっていくところで観客は毎回喜びながら見守ることができる仕上がりとなっていた。

以前も写真だけでセットの解説をしたのだが、デイヴィッド・ロックウェルによる華やかなアール・ヌーヴォー調の舞台美術が素晴らしい。音楽に合わせて店舗のセットが観音開きのように開いていくところは、ミュージカルの冒頭の「さあ、これから始まるぞ!」というワクワク感を盛り上げる。

この規模のミュージカルではアンサンブルが素晴らしいのは期待通りだ。主要キャストではコダーイ役のギャビン・クリールの歌唱が抜群に良かった。ザッカリー・リーヴァイは特にドラマ『chuck』でも得意だったチャーミングな演技が役柄にぴったり。歌声自体も爽やかで好感が持てる。

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