Stranger Things: The First Shadow

Stranger Things: The First Shadow (Phoenix Theatre)

25/8/2024

作:Kate Trefry, the Duffer Brothers, Jack Thorne 演出:Stephen Daldry

美術:MIriam Buether 衣装:Brigitte Reiffenstuel 照明:Jon Clark 音響:Paul Arditti

出演:Louis McCartney, Oscar Lloyd, Isabella Pappas, Christopher Buckley, Ella Karuna Williams, Patrick Vaill他

ドラマを観たことがないのに、舞台のStranger Things: The First Shadowを鑑賞。結論から言うと、ドラマを未鑑賞でも舞台のストーリーにはついていけた。ネタバレ少しあり。


Netflixで配信されている人気SFホラードラマStranger Thingsの前日譚で、本編にも登場するヘンリー・クリールの少年期を描くもの。ドラマの時代設定は1980年代だが、本舞台は1959年から物語がはじまる。舞台オリジナルのストーリーで、ある程度独立した一本の話なので、舞台だけでも楽しめるということになっている。2023年12月にロンドンでオープンし、2025年にはブロードウェイ上演が決定している。

美術の評価が高かった(オリヴィエ賞を獲っている)のでそれを確かめるため、そして、多くの芝居が休演日の日曜日に上演されていたので、この演目を選んだ。劇場は家族連れが多く、みな楽しんでいたよう。私にはちょっと怖いところもあったが、子供も見に来ていた。フェニックス劇場も外装・内装ともにストレンジャー・シングス仕様になっている。劇中の人物や事件名などをホラー映画風に描いたパロディポスターが廊下にずらっと並んでいる。販売グッズも多い。

確かに驚くような転換を見せる、大掛かりな美術は見どころ。要所要所の場面転換で、テレビドラマっぽい映像(オープニングタイトル風に様々なデータや資料を見せるムービーとか空撮映像とか)も挿入される。プロジェクション、音、装置の動きなどにきっちり合わせて俳優が演技をしないといけないのだが、そこもうまく見せていた。しかしこれが何度かあるため、毎度映像に合わせて俳優に演技させるのであれば生の演技・舞台ではなくて映像作品にしても良いのでは、とも感じてしまう。

ストーリーはやや冗長。もっとスッキリ終わらせることも可能だろうと思ったのだが、やはり元のドラマシリーズが前提の前日譚なので、私が理解していない伏線の表現などもあるのだろうか。

ドラマの世界観を知らないので、SF度合いと深刻度合い、キャラクターがみんなモラルが無さすぎることに戸惑う。特に、クリールの父親の戦争のトラウマを利用しよう!というアイデアを子供達が思いつくところはドン引き。ブレンナー博士にもドン引き。とはいえ、アトラクション的な楽しさは満点。どこまでシリアスなストレートプレイらしくするのか、どこまでの作り物っぽさや非現実的展開を許すのか等の塩梅が難しいだろうが、荒唐無稽に感じる寸前で緊張感を保っていた。

音楽や効果音、役者がよく叫ぶ点など、私の好みよりはちょっと騒がしいところが多い。役者の中では、主演のルイス・マッカートニーの憑依型の演技、最初と最後の変身っぷりは好感を持った。今回が舞台デビューでかなり若いと思うのだが、このビッグバジェットであろう舞台の主演を遜色なくやれていて頼もしい。ちなみに、父親役のマイケル・ジブソンが休んでいたのが残念。彼の神経が衰弱していくシーンを見たかった。

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