The Habit of Art

Original Theatre CompanyのThe Habit of Artを配信で視聴しました。上演が今回の新型コロナの影響でキャンセルになってしまったため、オンラインで販売・寄付を募っています。ツイッターにも感想書いたのですが、こちらにも残しておきます。おすすめです。

公式サイト

The Habit of Artは、ナショナルシアターでかかる予定の、W.H.オーデンとベンジャミン・ブリテンの再会を描く芝居(劇中劇)のリハーサルの様子を描く芝居です。アラン・ベネット作、ニコラス・ハイトナー演出で2009年にナショナルシアターで初演、2010年にNTLiveで上映されました。私はアーカイブでオリジナル公演の録画を一度視聴したことがありますが、どうやらあまり再演はされていないようです。今回のプロダクションはフィリップ・フランクスが演出を担当しており、まず2018年にヨークで上演され、ツアー上演されていました。今回のような機会がなければ私が日本から見ることはまず出来なかったので喜ぶのもよろしくない気がするのですが、少額でもサポートしつつ芝居も観れるのはやはり嬉しいです。

さて、このプロダクションは、とても脚本に素直な演出で、すんなりと舞台を作り上げたように感じました。劇中劇と、リハーサルで起こる様々な議論や問題を平行して扱いつつ、加齢・名声・役者の不安について、優しく切なく触れるコメディドラマです。

当初、観客としては、これはナショナルシアターでかけられることに意味がある戯曲ではないかと思っていたのですが、見ている間に、どこの劇場でかかっているのかなんて全く忘れてしまいました。むしろ、ナショナルシアターでナショナルシアターの芝居をかけるのは観客にも身がまえさせてしまう難しいことだったのかもしれません。セットもあんまりナショナルシアターっぽくなくてやや予算は抑えめですし、スタイリッシュさには欠けるのですが、それもこの芝居には良かったようにも思います。

このプロダクションで驚いたのは、オリジナルと比べて俳優の引力の強さのようなもの、簡単に言えばバランスがかなり違ったことです。ナショナルシアター版もアンサンブルのバランスが悪かったわけではないのですが、もっとそれぞれの個性がぶつかりあうような印象でした。オーデンとブリテンを演じるリチャード・グリフィスとアレックス・ジェニングスが中心のようでありながら、あまり台詞が多くないステージマネージャー役のフランソワ・デ・ラ・トゥーアがかなり存在感が大きく、話の展開を操っているような雰囲気があったことに気がつきました。それと比較して今回のOriginal Theatre Companyのアンサンブルは、オーデンとブリテンを演じるマシュー・ケリーとデイヴィッド・イェランドがそれぞれらしい演技で引っ張り、彼らを中心として活動する劇団のようなまとまりが感じられました。

ちなみに、ナショナルシアターのプロダクションも気に入っているので、(かなり可能性は低いと思いますが)今回のYouTube配信でラインナップに入らないかなあと、すこしだけ期待しています。

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