舞台配信メモ5

もう配信が終わってしまったものばかりですが、鑑賞した舞台配信のメモを残しておきます。

舞台配信:It Is Easy To Be Dead / Mood Music / AMADEUS / Jekyll & Hyde / The Mad Hatter’s Tea Party / Hat 三部作

It Is Easy To Be Dead

Finborough Theatreの配信で、記録映像を視聴。2016年に劇場でも鑑賞しているプロダクション。

作:Neil McPherson 出演:Alexander Knox, Jenny Lee, Tom Marshall 他

第一次世界大戦中、フランスで20歳で命を落とした若い詩人チャールズ・ソーリーを描く。息子が送った・残した手紙を両親が読み、彼の留学から亡くなるまでの期間を追うという体裁になっている。

主役で新人のアレクサンダー・ノックスの、狭い舞台上での溌剌とした存在感が強く印象に残ったことを思い出す。伴奏のピアニストと歌手がいるのだが、演奏される音楽のチョイスが程よくクラシカルで詩的で、またノスタルジックである。父親が手紙をうっかり濡らしてしまい、一部チャールズの声が途切れてしまうところで涙が溢れる。ソーリー自身が果たしてWWIのノスタルジアに共鳴するのかは疑問なのだが、息子を失った両親の悲しみに寄り添う形で芝居はまとめ上げられている。

Mood Music

Old Vicの配信で、2018年の舞台の記録映像を視聴。

作:Joe Penhall 演出:Roger Michell 出演:Ben Chaplin, Seána Kerslake他

ベン・チャップリンのマッチョなキャラクターには嫌気がさすが、彼はこういう役が本当にうまい。年上の男性プロデューサーと若い女性アーティストそれぞれの語りを見ていて辛くなってきて、前半と終盤だけ確認した。ある程度「知っている」と思える展開なのだが、コラボレーションワークの線引きのできなさや職場の男女のパワハラっぽくなる関係性について、しっかり一本の芝居にし、立体的に見せることに価値があると思う。まあ、一部を見ていない身で勝手に言っているが…。

Amadeus

National Theatreの配信で視聴。NTLiveでも見れていなかったので今回が初見。映画のアマデウスも見ていないのだが、一緒にいた家族がいろんな情報を補完してくる。

作:Peter Shaffer 演出:Michael Longhurst 美術:Chloe Lamford 出演:Lucian Msamati, Adam Gillen他

残念ながら、あまりストーリーに身が入らなかった。面白くないわけではないのだが、サリエリの神に対する心情、アマデウスとそれを含む色々なことへの執着や悪意が、全体としてバランスが取れているのかどうかがよくわからない。私が行間を読み取る力が少ないのかもしれないが、意図的に天才を破滅させるプロットにしては何かが物足りない。美術はちょっと空間が余っている気がしたので、視覚的な刺激からも物足りないような気分になってしまったのかもしれない。

(しかし初演のアマデウスにサイモン・キャロウはぴったりだったろうなと思った)

Jekyll & Hyde

Old Vicの配信で視聴。2016年の公演は劇場で鑑賞した。

振付・演出:Drew McOnie オリジナルスコア:Grant Olding 美術:Soutra Gilmour 出演:Daniel Collins, Tim Hodges他

このような機会がなければ配信されなかった映像にしては、編集が凝っていてクオリティが高い。配信で見ても楽しかった。劇場鑑賞時、プロダクション自体に勢いがあるところがとてもエキサイティングで好きだったが、いま見ると記憶よりも残酷な描写もあってやや驚いた。サウトラ・ギルモアによる舞台装置の、場面転換時の工夫が面白かったのだが、クロースアップを使う映像編集だとあまりじっくりとは見れない。

The Mad Hatter’s Tea Party

ロイヤル・オペラ・ハウスの配信で視聴。ZooNation: the Kate Prince Companyによる公演。

作・演出:Kate Prince 振付:Members of ZooNation 音楽:Josh Cohen, DJ Walde 作詞:Kate Prince, Josh Cohen, DJ Walde 美術:Ben Stones

『不思議の国のアリス』の翻案舞台で、“普通”を専門とする精神病院に赴任する新人医師の患者たちが皆『ワンダーランド』という土地の妄想に取り憑かれているという設定になっている。確かに、赤の女王もチェシャ猫も、“普通”の世界ではサイコセラピストにお世話になる必要がありそうな人たちだ。同僚の医師たち全員の名前がフォント名なのだが、整った文字は退屈の象徴なのだろうか。

前半はどんよりとした暗い部屋のシーンが続くが、後半ティーパーティーの場面になると、ベン・ストーンズによるセットと衣装にはカラフルな原色がたくさん使われていてとにかく派手でエネルギッシュ。ZooNationらしく、音楽はヒップホップで盛り上げてくれる。

I Want My Hat Back / This Is Not My Hat / We Found A Hat

Little Angel Theatreによる配信で視聴。

原作:John Klassen 演出・出演:Ian Nicholson デザイン:Samuel Wilde 音楽:Jim Whitcher

原作は大人気の同名絵本。すでにナショナル・シアターで子供向けに舞台化されているが(2015年上演)、こちらは絵本の読み聞かせ、あるいは紙芝居のように、語り手の顔が見えるスタイルの人形劇。人形は棒付きの紙人形で、手足、しっぽやまぶたが動くしかけがついている(参照)。4月に公開された1作目がとても評判が良く、連作の残り2作も続いて制作・配信された。

非常に心地の良いプロダクション。演出・出演のイアン・ニコルソンが上手で、主人公のくまや他のキャラクターだけでなく、物語の聞き手のリアクション表情なども担っている。小さい紙人形に工夫が凝らされていて魅力的で、可能なら手にとってじっくり見てみたくなる。カメラレンズにフィルムをかぶせてみたり、途中で影絵にしてみたりと、表現が一辺倒ではないのも楽しい。音楽ものんびりとしていて雰囲気に合っていた。

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