Love Never Dies

4年ぶりのロンドン、最初の演目はLover Never Diesコンサート。いきなり辛口なので、この作品がとても好きな方は飛ばしてください。


Love Never Dies (Theatre Royal Drury Lane)

8/21/2023

音楽:Andrew Lloyd Webber 詞:Glenn Slater 出演:Norm Lewis, Celinde Schoenmaker, Matthew Seadon-Young, Courtney Stapleton, Sally Dexterほか 演出:Shaun Kerrison 演奏:London Musical Theatre Orchestra

普段はFrozenを上演しているシアター・ロイヤル・ドゥルーリー・レーンで、2日間3回限りのコンサートパフォーマンスがおこなわれ、初回を鑑賞した。コンサートバージョンではあるが、この演目のパフォーマンスを生で見るのは初めて。

舞台の半分はオーケストラとコーラスのスペース。オーケストラは、27ピースとのことで、クラシックコンサートの規模というよりかはオケピサイズに近い。オーケストラの真ん中には通路があり、俳優が出入りに使っていた。舞台の客席側のスペースは半分近く平場になっており、俳優たちが歌って踊れるようになっている。衣装とヘアメイク、ダンスの振り付け、小道具や鏡台、カウンターなどの小ぶりなセットもあり、舞台を観たような気分になることができた。

素晴らしかったのは、現在Guys & Dollsに出演中のセリンデ・シェーンメイカー。とても調子がよさそうで、数年前に見た時よりパワーアップしている。声が伸びやかで華やか。Love Never Diesが圧巻で、この曲がオーケストレーションも最も素晴らしいと感じた。期待していたノーム・ルイスは、もちろん素晴らしい歌手であることはわかるのだがおそらくあまり本調子ではなく、マイクの調整の問題もあって、オケの演奏に混ざってしまいそこまで声が引き立てられていなかった。ちなみに、目当てのマシュー・シードン=ヤングも、このラウルを演じるにはすこし上品すぎて迫力が足りない。

指揮は情熱的だったのだが、演奏が揃わなかったり、音響も、マイクの音量調整ミスなど、やや準備不足の感が否めない。

しかしパフォーマンスはともかく、この作品自体に乗れなかったので、その点も書いておこう。

『オペラ座の怪人』が完成度の高いミュージカルで続編は必要ないと考えているので、かなり辛口のコメント(そしてネタバレ)になるけれども、Love Never Diesは音楽も物語も、続きものとしては説得力に欠ける。なんでまたこのキャラクターたちを使ってコニーアイランドの物語を作ったのだろう。特に、パリのオペラ座では、殺人をも厭わないほど恐ろしい、しかし音楽の才能に溢れた怪人だったはずの存在が、アメリカに来たら、ただの不倫相手のオーナーおじさんになってしまったところが、かなり作品の世界観を殺している。コロナ禍中に配信があったもののあまり話を覚えていなかったので、最後はてっきりメグが死んでしまうのだろうと思って観ていたら、クリスティーヌが流れ弾に当たってしまって、かなり驚いた。しかし劇場に集まった観客(ほとんどが作品のファンだろう)は大盛り上がりだったので、きっとの本来の上演を見た者にしかわからない良さがあるのだろうなと思い、劇場を後にした。

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