A Mirror

A Mirror (Almeida Theatre)

8/26/2023

作:Sam Holcroft 演出:Jeremy Herrin 美術・衣装:Max Jones 照明:Azusa Ono 作曲・音響:Nick Powell 出演:Jonny Lee Miller , Tanya Reynolds, Micheal Ward ほか


*オチは書いてないけど、最初の設定のネタバレは書いちゃってます


劇場のロビーや舞台上の飾り付け、客席ひとつひとつに置かれた花の模様の式次第によれば、今からアルメイダで始まるのはレイラとジョエルの結婚式で、私たちは招待客だったらしい。しかしながら、これは警察などの監視の目を潜り抜けて演劇を上演するための偽装の結婚式だ。私たちは、結婚を祝う客のふりをして、無許可のアンダーグラウンドの芝居を見にきた客であるという設定だ。結婚式の飾りを取り払ったところから手作り感の溢れる芝居の「本番」が始まる。

チェレック(ジョニー・リー・ミラー)は、とある国の文化庁のお偉方のような立場で、さまざまな芸術家育成のサポートをしつつ、提出された作品の検閲業務も統括している。アデム(マイケル・ウォード)は初めて戯曲を書いてみた自動車工で、なぜいきなり長官のオフィスに呼び出されたのか戸惑っている。どうやら、チェレックは彼に文才があると感じたようだが…というのがこの劇中劇の導入である。

芝居の中で芝居が始まり、芝居についての会話が展開するのが一々面白い。アルメイダのソールドアウト公演なのでシアターゴーアー向けの芝居に関する芝居になってしまったわけだが、決して内輪受けすぎないバランスに仕上がっていると思う。現在でも厳しい検閲がある国や地域もあるにもかかわらず、私がこのサタイアをただ楽しめてしまっては能天気すぎるだろうが、スリリングな仕掛けなのでやはり楽しんでしまう。種明かしによって色々な描写がようやく腑に落ちるが、やや伏線が親切すぎるかもしれない。観客の記憶をくすぐる笑わせ方と、戯曲の冷酷具合は好みだった。ちなみに、セクシーなシーンを見せきらないところは、なぜだか今どきな気がした。

劇中劇の分量が多いのでその中のキャラクターに心を寄せて鑑賞したが、チェレックを演じるジョニー・リー・ミラーの好ましさと危うさのバランスが魅力的。それにしても、ジェフリー・ストレトフィールドは見るたびに酔っ払いをやっている気がする(My Night With Reg(旧ブログ), The Beaux’ Stratagem, Young Chekhov, Wild Honey)。上手いからしょうがないのか。

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