2020/10/30 International Theater Amsterdamによる配信ITA liveで視聴。
作、演出:Simon Stone 翻訳:Vera Hoogstad, Peter van Kraaij 美術:Bob Cousins 照明:Bernie van Velzen
エウリピデス『メディア』を現代にうつした翻案作品。
久しぶりの英語以外の舞台を視聴したのだが、ひさしぶりにここまで救いがなく辛い展開が続く物語を見た。拒絶や喧嘩が繰り返され、あまりに辛い展開ばかりで嫌になってくるのだが、1時間を越えると逆に辛さの向こう側の快感みたいなものを感じるようになってくる。
本作のメディアは元部下と結婚し子供をもうけるが、様々な問題があり別れた後、仕事も失ってしまい依存症も患っている、くたびれた中年女性として描かれる。元夫とよりを戻したいと思っているが、彼はより若い女性と付き合っており結婚予定である。愛を失ったきっかけとしては、「子供を産んだら女としては見てもらえなくなった」ということが痛切に語られる。この「子供を産んだら女は〜」という話は他の演劇やドラマでもよく聞くが、果たしてメディアを現代翻案するうえでも有効なほど、ユニバーサルな呪いなのだろうか。
舞台デザインは、ITAらしくシンプルかつスタイリッシュにまとめている(今までに見たことがあるのは統合前のToneelgroep Amsterdamの舞台で、イヴォ・ヴァン・ホーヴェ演出・Jan Versweyveldデザインばかりだったが)。舞台も壁も全体が真っ白で、映像スクリーンがひとつというとてもミニマルな舞台美術で、人間だけに色がついている。ほかは、後半に黒い吹雪が降ってくるのみだ。
余談だが、これを朝4時に、英語字幕(しかも背景白なのに字幕も白)で視聴するのはかなり辛いものがあった。以後、日本から視聴するのに無理のない配信を選ぶようになったきっかけのひとつである。
ただ、今までに見たシェイクスピア舞台の中でもベストのひとつである『Kings of War』が、1月10日の深夜から早朝にかけて配信される予定になっており、今回だけは非常に心が揺れている。