The Antipodes (Dorfman Theatre, National Theatre)
10/26/2019
作・演出:Annie Baker 演出・美術:Chloe Lamford 照明:Natasha Chivers 音響デザイン:Tom Gibbons 振付:Sasha Milavic Davies
出演:Fisayo Akinade, Matt Bardock, Arthur Darvill, Imogen Doel, Hadley Fraser, Conleth Hill, Sinéad Matthews, Stuart McQuarri, Bill Milner
antipodesとは、対蹠地といって、天体において真逆の地点に位置する場所のことらしい。世界初演は2017年のオフブロードウェイ。作者のアニー・ベイカーと美術のクロエ・ラムフォードによる共同演出でイギリス初演である。1幕で2時間程度。
感想
人々が集まって話をする。
良い話とはなんだろう。
コンセプチュアルな設定の舞台なので、説明することを放棄してしまいそうになるが、人が物語るという行為を、個人の思い出話から神話創造までの幅で見せていく。とある企業の支社の中にあるらしきミーティングルームで行われているそれは、職を得て働くことの意義にも想いを馳せさせる。
スマートでやや未来的なインテリアのデザインが見た目に美しいが、基本的にキャストは舞台中央の長テーブルに向かい語り合っているため、舞台を囲む客席三方向の座る位置によっては演技が見づらそう。
椅子をくるっと回すだけで場面を切り替えていくので動きは最小限だが、俳優たちはチャーミングだった。私はハドリー・フレイザーのファンなので見に行ったのだが、不憫かわいい役でとても満足した。ミュージカル俳優としてはとても信頼しているのだが、ストレートプレイでも引き続き活躍していけるだろう。
あまり動きがないので、途中でちょっと飽きそうになったが、こういう舞台もたまには見ても良い。終演後「本当に面白かった」と語り合っているグループもあり、人ぞれぞれ異なる感想を持ちそうなところが、らしいと思った。