A Christmas Carol

2020/12/16マチネ、2020/12/19マチネ、2020/12/23マチネ

Old Vic In Cameraの第4弾。無観客の劇場からの生Zoom配信を視聴。

原作:チャールズ・ディケンズ『クリスマス・キャロル』 翻案:Jack Thorne 演出:Matthew Warchus 作曲・編曲:Christopher Nightingale 照明:Hugh Vanstone  配信音響・ビデオ:Simon Baker

出演:Andrew Lincoln, Melissa Allan, Gloria Obianyo, Clive Rowe, John Dagleish他 ※3回ともTiny Timは異なる子役、23日はベル役がアンダースタディ

撮影が厳しい

期待していた舞台なのだが、撮影が全く気に食わない手法だったのが至極残念だった。担当者のインタビューを読むと、舞台配信のための撮影に取り組んでいるようなので、意図的にこうなっているのだろう。Romantic Anonymousも担当したそうで、そちらは全く問題だとも思わなかったのだが、なぜOld Vicの配信がこういう風な進化を遂げてしまったのか。

この進化というのは、「分割画面」と「映像のオーバーラップ」ついでに「アップ撮影」あたりをさすと思ってもらえれば良い。以前のOld Vic In Cameraでも、ズームを多用しすぎ、そのために俳優の動きを追いかけきれない、時にカメラのピントが合わない等の問題があると思っていたが、これは改善される問題ではなく推し進められる手法だったようである。

今配信は今までよりさらに、舞台全体の様子や配置がわからない。分割画面(基本2〜3分割、多いと9分割)は俳優の顔を中心に切り取られていて、ボディランゲージがほとんど見えない。さらに、時々2台のカメラ映像をオーバーラップさせ、ぼんやりと人影が重なって見える、より不明瞭な演出を施していた。舞台を撮影したプロダクション写真が公開された時は、「こんなに綺麗なのか」とびっくりし、落胆もした。静止画だが、ここではカメラで舞台の様子を様々な角度から撮影できているではないか。ソーシャルディスタンスを保つ演出のため俳優同士が離れて立つ必要があるのを、配信では分割画面で隣にいるように見せるための工夫なのだろうか。とにかく舞台の「空間」感覚を掴みづらい映像だった。

その他の感想

このようにかなり配信手法に惑わされながらの鑑賞ではあったが、舞台自体はクリスマスにぴったりの演目で、好ましく思えた(あんまり自信は無いが)。

翻案ではかつての恋人ベルがフェッジウィッグの娘という設定になっており、改心したあとのクリスマスで再開する場面が足されている。この場面の追加のほかにも、悪夢の後にはマーレイも歌い出してスクルージが喜んで見せるなど、スクルージ、ひいてはクリスマスの観客にとって、よりソフトで楽しいエンディングへ翻案されている。前半はきちんと怖い、寒々しい雰囲気も出しているが、最後が極端にお祭り騒ぎのようになり、さらにベル演奏で締めくくられる。

悪夢から覚めたあとのクリスマスでは、ロンドンを駆け回ったあとのスクルージが食糧を配る場面になり、2階席からオレンジやジャガイモがすべりおり、野菜が舞い降り、七面鳥が空中を滑走する大団円(?)になる。こんな展開は予想もしていなかったのだが、劇場で見てみたかった。

元々イマーシブ演出の舞台だが、配信でも観客に語りかけるような一言があったり、また客いじりの名残らしいスタッフ動員があったりと、イマーシブっぽさは感じられた。笑いどころも多々あるのだが、他の観客の笑い声が聞こえないのがさみしい。

鑑賞前はアンドリュー・リンカーンはスクルージ役をするにしては若すぎると思っていたが、かつての恋人に会いに行く場面があるバージョンのスクルージなら、適役かと思えた。また最後の食糧を集めて配るところでは、無観客の中でみんなを盛り上げて頑張っているのだろうというのが伺えるような頑張りぶりが微笑ましい。ベル役のグロリア・オビアニョも魅力的だ。原作でも最も悲しい場面であるタイニー・ティムの亡くなる場面は、この舞台でもジョン・ダグリーシュの熱演によって涙を誘うシーンになっていた。タイニー・ティムは3人の俳優で見ることができたが、それぞれ個性が光る演技を見せてくれた。

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