2020年に見た演劇と、心に残った出来事
1、2月21日 ソン・ギウン『外地の三人姉妹』リーディング (京都芸術センター)
2020年唯一の舞台鑑賞作品。リーディングだけどかなり完成されていて面白かった。今年舞台をもっと見に行っていたとしても、ベストにランクインしても良いと思う出来。
2、What Do We Need To Talk About? (Public Theatre)
芝居も演技も上手い。この時期にZoomで顔を合わせる家族を描く演劇を、画面で視聴するという違和感の無さ。没頭できる。余韻が良い。
3、Midsummer Night’s Dream (Bridge Theatre/NTL)
ものすごく楽しいプロダクション。男女を入れ替えるだけでこんなに気持ちが晴れやかになるのかという気づきもある。
4、Cyprus Avenue (Royal Court Theatre)
じっとりとした葛藤の多い芝居だが、舞台だから観ていられる(たぶん映像作品では無理)。重苦しい中のジョークにめちゃくちゃ笑ってしまう。
5、A Monster Calls (Bristol Old Vic/Old Vic)
過去の記録映像をもとに、あまり編集を加えないままの配信映像が逆にフレッシュで、演劇配信に時に感じる息苦しさがなかった。演技もフレッシュだったし、舞台装置も空間を広く使うのでぴったりだったと思う。
6、Midnight Your Time (Donmar Warehouse)
こちらもSNS映像で構成された演劇で、手持ちのデバイスで再生する鑑賞体験にインターフェース次元での違和感がない。家族間のコミュニケーション不和で揺れるところを描くのも、ついつい心配しながら見てしまう。
7、トゥーランドット(新国立劇場)
新演出で全く違うラストシーンになってしまった。美術もとてもかっこいい。
8、This House (National Theatre at Home)
期待して準備してみんなで見て楽しかったなあ!という楽しい思い出。
9、Medea (ITAlive)
辛さの向こう側という忘れかけていた感覚を思い出させてくれた。しかしもうしばらく見直したくはない。
10、Flowers for Mrs Harris (Chichester Festival Theatre)
やったぜ!中年女性主演ミュージカル!切なさも喜びもワクワクも音楽も花もそこにあった。発表予定がなかったはずなのに映像のクオリティが高すぎて、当時のtwitterタイムラインがざわついていた。
美術賞
Crave (Chichester Festival Theatre)
配信のための演劇のなかで、画面の中に見えるものが一番かっこ良かった。(眠すぎて内容が頭に入ってこなかったが…)
この頃に戻りたい賞
RED (Shows Must Go On)
アルフレッド・モリーナを生で見られたなんて羨ましい。むしろREDの初演のドンマーの空間に行きたい。あの狭い劇場で二人だけの濃い芝居を見るという体験が今一番恋しい。
演技賞
Faith Healer (Old Vic In Camera)
全員がうまい。カメラ向けの演技も完璧。各自の一人芝居が安定しすぎ・カメラが主張しすぎていて、「収録配信しても同じことなのでは?何度も生配信する意味があるのか?」という疑問が生じた。
イベント
- アンドリュー・ロイド=ウェバーによるShows Must Go On!の立ち上げ含む様々な活動
大変なことになった!というときに真っ先にいろんなことを始めたり、試したりしていた印象がある。大御所のパワフルさに励まされるし、犬も猫も可愛い。
- パラドックス定数毎週配信
無料配信とクチコミの結果、視聴していた人がかなり多く、感想で盛り上がった。そしてそのあと戯曲を買う人、配信を買う人、舞台のチケットを買う人がたくさんいて、今後につながっているという実感があった。